ルイジアナ料理

アメリカ料理と呼ばれる料理はいろいろあるが、その中で日本人が一番身近に感じる料理はルイジアナ料理だと思う。

アカディア地方に入ってきたフランス系のカナダ人達が、現在のニューオリンズあたりに多く住み着いた。彼等を「アカディアン」がなまって「ケイジアン」と呼び、彼等の料理が「ケイジアン料理」だ。またスペイン文化やフランス文化をそのまま受け継いできた人々を「クリオール」と呼び、その料理が「クリオール料理」。ニューオリンズに存在する2つの外来の料理に、地元エイビリー・アイランドのタバスコなどスパイスのきいた味付けがプラスされたり、アフリカから入ってきたオクラなどを使った料理、また奴隷当時の貧しい黒人の料理などがミックスしてルイジアナ料理ができあがっているのだ。

ケイジアン料理の代表といえば、「ガンボー」。オクラや米、野菜、魚介類、肉などのスープでとてもおいしい。クリスマスに七面鳥の変わりにこれを食べるという程だ。また、エビやカニをボイルしたものをテーブルの上にからを思い切りちらかしながら手づかみで食べる味は最高だ。もちろんタレにはタバスコの味をタップリきかせて。それにオイスターも有名だ。生ガキ、オイスターのハーフ・シェルなど地元の人はみんな大好物で、冬のシーズンには毎日一ダースも食べているという人もいた。

ところが私がどうしても手をつけられないものがひとつあった。「クロー・フィシュ」または「クレイ・フィッシュ」、つまり「ザリガニ」。子供の頃、近所の泥沼でスルメを糸の先につけたつりざおでザリガニをとった思い出がある。それを大きな瓶に入れて飼っておくのだが、その泥にまみれた姿を思い出すと、いくらボイルしてあってもとうてい食べるという気にはならなかった。

やはりなんといっても私のお薦めは、「ジャンバラヤ」だ。ルイジアナ地方では、男が三人集まると料理の腕自慢の話になるという。料理は男性が腕をふるってくれるのだ。どんな種類の集まりでも必ず料理がでてくるこの地方では、大勢の人の食事を一度でまかなえる「ジャンバラヤ」はとても便利だ。多いときには千人分以上を一度につくるという。で、いったい「ジャンバラヤ」とはどんな料理かというと、簡単に言えば「パエリア」か「ピラフ」。要するに日本の「炊き込みご飯」である。ラードの煮えたぎった鍋にソーセージ、豚や鳥肉を入れて、油をとったあとで玉葱をいため、水を加えて米を入れ炊き上げる。味は、塩、コショー、ガーリック、唐辛子、タバスコなどといったもの。ゴンザレスという所では毎年、ジャンバラヤのお料理コンテストがあり、チャンピオンは「ジャンバラヤ・キング」と呼ばれ、いろいろなパーティに出店し腕をふるうことになるのだ。と、ここまでがケイジアン料理。

クリオール料理は、「フレンチ・クリオール」とも呼ばれ、フランス料理が中心だが、長い年月の間にニューオリンズ風にアレンジされている部分も多い。朝食の「ブレナン」、ディナーの「アントワン」「アーノーズ」など、フランス料理店ででるものはたいていクリオール料理だ。

ここでは、1979年にナポレオンのために建てられたナポレオン・ハウスなどでさえ、歴史を感じさせつつ「マファレッタ」という大きなサンドイッチを名物にしているほどだ。サンドイチといえば、昔黒人の奴隷の人々が食べていたサンドイッチが、「プアボーイ・サンドイッチ」。それがなまって、「ポーボーと言い、これが本当においしいのだ。また、「ハッシュ・パピー(コーンのあげパン)」「キャット・フィッシュ(ナマズのフライ)」なども黒人奴隷の間の料理だったが、いまやルイジアナの名物料理の一つというよりも、アメリカ深南部、南部を代表する料理になってきている。

ニューオリンズへ行ったら、「ブレナン」で朝食を食べないと一日が始まらないと言うほど有名な「クリオール式」のフランス料理のレストラン。

アメリカの中でも特においしい料理の味で競っている店が多い。ルイジアナの男性は3人集まると料理の作り方か、レストランの評判の話が始まる。

シーズン中には、ニューオリンズ市内のオイスター・バーは満員だ。ハーフ・ダズンとかワン・ダズンといった「オイスター・ハーフ・シェル」を注文すると、生ガキをお盆のようなお皿に盛り付けてくれる。これをタバスコを利かせたタレにつけて、ペロリと食べるのだ。

私も食べることに関しては、学生時代から訓練させられている。

「ポーボー」からホッドドックまで、この町は何でもおいしい。

クリオール料理の代表ともいえる「アントワン」のキッチン。味の秘訣を見つけようとのぞいて見た。

「キャット・フィッシュ」なまずの料理を怖い物見たさにみんなで食べようと言う、「フィッシュ・フライ・パーティー」だ。右の男性は警察署長さん。

「ジャンバラヤ・キング」に選ばれた後、車を料理専用に改造してしまった。私が写真を撮るというと、わざわざ40人分の「ジャンバラヤ」を作ってくれた。

「ジャンバラヤ」にはこのお米が最高なのだと「キング」がにていた。陸稲の長粒米だが、長時間ゆっくり炊き込むので味が出るのだと言う。

これが40人前の「ジャンバラヤ」になる。この後、水を加えお米を入れて味つけをして、あとは残り火でゆっくり炊き込むのだ。

これがケイジアンの代表的料理、オクラやお米で作った「カンボー」だ。魚介類入りのシーフード・カンボーが、ニューオリンズでは一番おいしいと思う。

カニやエビを使った料理も「ケイジアン料理」に多い。カニを丸のままボイルしたものを手でばらしながらナイフやフォークで肉をり出して食べるのだ。

フレンチ・クォーターのナポレオン・ハウスは、ナポレオンが逃げて来るために建てられてたというが、現在はレストランになっていて、このフランス・パンのサンドイッチ「マファレッタ」が名物だ。

フレンチ・クォーターの代表的レストラン、アーノーズでクリオール料理を堪能した。これは魚の料理で「ポンパノ・エン・クロード」という。

これもアーノーズの夕食で食べたアペタイザーのシュリンプ・アーノーズ。クリオール料理でも特産のエビの料理がおいしい。

アメリカ人の朝食は卵の料理がかかせない。「ブレナンの朝食」で食べたエッグ・サルドー。

ブレナンの朝食。やはり卵料理の「エッグ・ベネディクト」

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