アトランタのひと昔前

近代都市としてのアトランタ、そして『風と共に去りぬ』時代のアトランタ、また最近では『風と共に去りぬ』の続編が出版されたり、TV映画化されたりして、その映画以降のアトランタも脚光を浴びているようだ。

ここでは、1950年代のアトランタや更にその前のアトランタを訪ねてみた。

アトランタは、コカ・コーラの本社のある町としても世界的に知られる所だ。そしてそのコカ・コーラの勢力を象徴し続けているような店「バーシティ」は、「ファウンテン」と呼ばれる、ビンやカンにつめないで直接ボンベからグラスにつぐ方式の中では、世界一の売り上げ高をほこる所だ。コカ・コーラ本社からほど近い、高速道路を出てすぐの場所にある。その当時まだ学生だったオーナーが同じ学生相手に始めた店が当たりに当たったもので、昼休み時のこの店は大変な混雑だった。

また50年代当時はやったように、車を専用の駐車スペースに止めて注文すると、車の窓の所にお盆を持ってきてくれるというドライブ・イン・スタイルを守り続けているのもも人気の秘密のようだ。

また、アトランタの一昔前の世界をそのまま残していた「アンダーグラウンド・アトランタ」が閉鎖されてしまうというニュースを聞いた時は、大変残念に思ったものだ。現在のアトランタのダウンタウンのビル街の下に、もうひとつ昔のままのダウンタウンの町並みがそっくり残っていて、まるでタイムスリップできるようで楽しい所だったのだが、オリンピックの開催を控え交通システムが整備されたのにも合わせて、全く新しいコンセプトの最新流行のショッピング・モールに作りかえられてしまったのだ。

これは、私の考えであるが、アメリカを代表する町には、町の人々が集まってくる「溜まり場」が必ずあるような気がする。「溜まり場」の無い町には町としての個性も無く、魅力の無い町になってしまうようだ。例えばニューヨークの場合はセントラル・パーク、サウス・シーポート、グリニッチ・ビレッジ、五番街。サンフランシスコの場合はフィッシャーマンズ・ワーフかユニオン・スクエア、ロサンゼルスの場合は北から南へ続く海岸がこの「溜まり場」と呼べる所である。

アトランタの「新生アンダーグラウンド」はこの「溜まり場」の役目をしてくれるスペースになってくれるものだと思う。ダウンタウンから目印の塔へ向かって歩いて行くと、その「アンダーグラウンド」に入る手前にもちゃんと広場が用意されており、すでにその周囲には様々な新しい店が出店している。まるでここは、過去のアトランタから未来のアトランタへと大変身をとげている真っ最中といった感じだった。

最近のアトランタの話題は、コカ・コーラ社がこの「アンダーグラウンド」へ本格的に進出し、コカ・コーラにまつわるコレクションの展示を始めたこと、そしてもちろん『風と共に去りぬ』の時代の再発見である。映画にまつわる品物がこの地下街にも数多く並べられていた。また、マーガレット・ミッチェルの子孫が現代の作家に依頼して本当の結末を見せてくれるという『風と共に去りぬ』の続編も注目を集めている。

1950年代、アメリカが世界中の文化の中心地として栄えていた時代へのノスタルジーを物語るような「バーシティー」の看板。

「ドライブ・イン・バンク」、「ドライブ・イン・シアター」、「ドライブ・イン・・・」といった具合に、車文明最優先の時代。バーシティーのウエイター。

昼休み時のバーシティーの店内は、とにかく込み合っていて、店内の様子が見えないほどだった。すいてきた頃を見計らって、ストロボを一発。何ごとかとこちらを振りかえるが、世界一の販売量をほこるコカ・コーラの店を取材にわざわざ日本から来ていると知ると、自分の写真を撮ってくれとみんながよって来て大変だった。

外の車では待ちきれないひとは、このように自分でお盆を持って店内のカウンターに並ぶ。

車の窓からオーダーすると、窓のところにかけられるお盆にのってくる

出来立てでボリュームもあって案外おいしい。この変が人気の秘密かもしれない。

新しく生まれ変わったアトランタの「アンダーグラウンド」のシンボル・タワー。アトランタの市民が夜でも集まれる場所だ。

10年前に訪ねたときは、まるで地下に残っていた町並みを掘りおこしたのではないかと思わせるような雰囲気だった。

以前のイメージほどではなくなってしまったが、現在のダウンタウンの町並みの下に、もうひとつの町並みがあるというイメージはいまでもアトランタの人々の興味をひいているようだ。

最近のアトランタは、徹底して『風と共に去りぬ』の舞台となった町として売り込んでいる。「アンダーグラウンド」の売店。

最新ファッションにを身にまとい、黒人の人達も大勢「アンダーグラウンド」にやってくる。自分たちの姿をみんなに見てほしいのだ。

「アンダーグラウンド」に店を出している最新流行のお店の店員さん。彼女もまた新しくなったアトランタを象徴しているようだ。

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