ワイオミング州

 ワイオミング州のナンバー・プレイトには、カウボーイが荒馬に乗っている絵が描かれている。この絵の通り、ここには西部開拓時代そのままのカウボーイ達が当時のままの姿で大勢生活をしている。一見古くさいイメージがする州なのだ、それに反して、人々の意識の上では、大変進んだ州でもあるのだ。

 1869年、まだワイオミング州がアメリカ合衆国の州として認められる21年前にはすでに女性の参政権を認めていた。そして1925年には、アメリカ合衆国で始めての女性の州知事が誕生している。

 また、最近世界中で騒がれている自然保護運動に関しても、ワイオミング州は世界をリードしてきた。なにしろ1872年にイエローストンが世界で最初の国立公園に指定され、その他にも、同じ国立公園局の管理する「ナショナル・モニュメント(国定公園、国定記念物)」の第一号にこの州の北東部にある、デビルス・タワーの岩山が指定されているのだから。

 州全体の平均標高はコロラド州に次いで高く、2,000メートル。州の真ん中をロッキー山脈が通り抜けているという文字通りの山岳州だ。山間には多くの野生動物が生活し、カウボーイ達が飼っている羊や牛の数も、全人口の2倍以上。アラスカ州に次いで人口の少ない州だということを抜きにしても、動物の多さがとても目立つ州だ。

イエローストーン国立公園とカウボーイとインディアン

 90キロ四方もあるという、広大なイエローストーン国立公園は、1872年にアメリカの国立公園第一号に指定された。そしてここは一九八八年、山火事が起きた際に、消化活動を一切せずに自然の消化を待つという、思い切った手段をとったことで一躍世界的に有名になった所でもある。自然の中で自然に発生した火事で、たとえ動物が死んでも木々が消失しようと、それは自然の摂理なのだという考えは、当時多くの議論を起こした。

 イエローストーン公園は、名前の通り黄色い硫黄分のある岩肌の公園で、中にはガイザー(間欠泉)や、巨大な階段状の温泉がある。ここにある木造のロッジ、オールド・フェイスフル・インは、世界一の丸太小屋だ。

 最近、上空からイエローストーン国立公園を見下ろす機会があった。数か月間にわたって燃え続けた山火事の跡は、人の助けを借りずに、早くも次の自然に覆われ始めている。あのオールド・フェイスフル・インも健在だ。あらためて自然の偉大さと、この公園の決断の正しさを思い知らされたような気がした。この州には、イエローストーンの他にも多くの自然公園や歴史公園がある。その中で、インディアン政治の中枢だったメディシンマンを記念する、メディシン・ホイール・ナショナル・ヒストリック・サイトという国立歴史公園を訪ねることにした。

 ビッグホーン山脈の中ほどに小さな標識を見つけようやく到着。フェンスに囲まれたメディシン・ホイールは、ただ地面の上に石ころが並んでいるだけで、これがいったい何なのか訳が分からない。パークレンジャーなどもいるはずもないし、解説もない。写真を撮ろうと思ってもフェンスが邪魔でろくに写真もとれない始末だ。気が付くとまわりにはだれもいない。まるで大自然の中にあるフェンスに一人閉じ込められてしまったような気分だ。すっかり心細くなってしまった私は早々に退散、ロディオ大会をやっているという、コーディーの町へいくことにした。

 ここでは、賑やかなショーを見物したり、あの有名なバッファロービルの子孫だという人と知り合いになれたりと、さっきの心細さはうそのようだ。人口密度が一番低いと言うワイオミング州でも、人が集まる所にはこんなにたくさんの人がいるのだ。

イエローストーン国立公園。

モンタナ州同様に空の大きさを感じるワイオミング州。それもそのはず、ここはアラスカ州に次いで人口密度が低い所なのだ。

イエローストーン国立公園内に限らず、野生動物をあちこちで見ることができる。コーディー付近で見つけた、エダツノ・レイヨウ。

イエローストーン国立公園内、グランド・キャニオン・オブ・ザ・イエローストーンのロワー・フォール。落差は94メートル。この滝のまわりの黄色い岩が、公園名の由来。

州北東部にあり、90キロ四方のほぼ正方形の巨大な敷地を持つイエローストーン国立公園は、アメリカ最大の国立公園であると同時に、世界で最初に作られた国立公園でもあるのだ。

イエローストーン・レイクのマリーナ。標高2357メートルという、この規模の湖としては、アメリカ一高いところにあるものだ。

地下から吹き出してくる温泉に含まれる石灰岩が、まるで階段のように固まっている。国立公園北西部のマンモス。

テラスと呼ばれる石灰岩の階段の近くは、マンモスと呼ばれ、イエローストーン国立公園の本部があるところ。ここには郵便局、ホテルなどさまざまな施設がそろっており、ひとつの町のようだ。ここのホテルに滞在して、公園内を乗馬で回ったり、博物館を訪ねたりするのも、またひと味違った楽しみ方だ。

「オールド・フェイスフル・ガイザー」と呼ばれる間欠泉は、一定時間ごとに温泉を吹き上げるということで、「正直に」という意味で名付けられた。その間隔は平均72分。公園内には1万を越える温泉が拭き出ているが、その中でもこの温泉がイエローストーン国立公園の人気ナンバー・ワンだ。

国立公園を小型飛行機の窓から見下ろす。オールド・フェイスフルの周囲には、古くからの観光地といった雰囲気がする。

世界一のログ・ハウスと言われる「オールド・フェイスフル・イン」。

オールド・フェイスフルの、吹上げ予定時刻が表示されている。

イエローストーン国立公園の南側にあるグランド・ティトン国立公園。公園を南北に抜けるロックフェラー・パークウェイから、ジャクソン・レイクとティトン・レンジの山々が見える。1929年に国立公園に指定されたこの公園には、あのジョンD.ロックフェラーがかなりの資金提供をしているという。

メキシコ、アステカ文明における天文学の影響があるといわれるインディアンの「メディシン・ホイール」。

メディシン・ホイールは、インディアンの宇宙に対する信仰の聖地。

映画「未知との遭遇」で知られるデビルス・タワー。1906年、アメリカ最初の国定公園に指定された。

高さ264メートルのデビルス・タワーは、世界中のロック・クライマーが一度は登って見たい、夢の山だ。

火山の吹き出し口だけが残ってできたデビルス・タワー。この地方が好きで、よく訪れていたという、テオドール・ルーズベルト大統領によって国定公園に指定された。

火山が噴火し、その溶岩が冷えて固まってできたという様子が、この姿でよく分かる。

サウス・ダコタ州のマウント・ラシュモアからも近いため、両方を訪ねる観光客が多いという。

ワイオミングの大平原では、現在でもこのような牛を追う、カウボーイの姿を見ることができる。車を止めて写真を取ろうと思ったのだが、せっかくおとなしく言うことを聞いている牛の気が散って収拾がつかなくなってしまうと、牛同様に追い立てられてしまった。

むこうの山の麓までは、彼の牧場とのこと。はるか彼方で家畜が群れから離れる様子を目敏く見つけ、馬に飛び乗りあっというまに走っていく。

バッファロー・ビル・コーディーの名をとったコーディーの町の郊外にある牧場。都会の人が気軽に宿泊できるデュード・ランチも経営している。コラルと呼ばれる家畜の囲みの中で。

カウボーイの町コーディーでは夏の間、毎晩ロディオ大会が開催されている。ロディオの試合の前に登場した、アメリカ国旗を持つ女性ライダー。

映画「アニーよ銃をとれ」のアニー・オークレー。バッファロー・ビル・ミュージアム。

バッファロー・ビル・コーディーの子孫。ロディオ大会の会場に来ていた。

コーディーのオールド・トレイル・タウン・アンド・ミュージアム・オブ・ザ・オールド・ウェスト。1879年から1901年のこの地方の建造物を保存している。

当時使われていた幌馬車や、バッチ・キャシディーとサンダンス・キッドの落ち合った小屋、カスター将軍の配下の小屋といったコレクションが並ぶ。

インディアン居留区ではないが、この町にはショショーニ・インディアンが数多く住んでいる。普段は背広を着たインディアンだ。

先祖は日本人と同じモンゴル系だというインディアン達は、日本からの訪問を歓迎して、ショショーニ・インディアンに伝わる歓迎のセレモニーを見せてくれた。後ろにあるのは、彼等がワイオミングの大平原を移動してキャンプをしていた時代に使っていたテント、「ティピー」。

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