レイク・タホとバージニアシティー
カリフォルニア州とネバダ州の州境にあるタホ湖は、世界で三番目に深い湖だ。タホ湖は、海抜1,900メートルというシエラネバダ山脈の上あり、南北が40キロ、東西が20キロという広さ、周囲が美しい山々に囲まれているためか、どこまでも透明な美しい湖だ。
この美しい湖のカリフォルニア側の湖畔は、1960年の冬季オリンピックが開催された、スコーバレーのスキー場、そしてネバダ州側の湖畔が、ラスベガス、リノに次ぐ第三のゲーミング・スポットに成長したサウスレイクタホの町だ。
美しい自然の中でウィンター・スポーツを楽しんだ人々は、夜になると州境の道路を一本越えて、今度は180度違うこの人工の町へやって来る。タホ湖を訪れる人のほとんどは、この昼と夜の両方を楽しむためにやってくるようだ。
またこの湖畔には、1960年頃にアメリカで週末のテレビ番組として20年もの間人気を博していた「ボナンザ」の撮影セットを保存したテーマ・パークがある。1860年のフロンティアの町を再現した「ポンデローサランチ」だ。当時、日本を初め八六ケ国で放映されていたというこの番組の人気は未だに衰えていないようで、この牧場には、連日大勢の観光客が訪れている。
タホ湖からネバダ砂漠に入った所に、1800年代中頃金や銀の産出で栄え、一時は七万人を越える人口を誇っていたという、バージニアシティーという町がある。
「トムソーヤの冒険」で知られる、マークトウェインが住み、「テリトリアル・エンタープライズ」という新聞社で初めて文章を書く事を覚えたというこの町は、一時は4つの銀行、6軒の教会、110軒のサロン、オペラハウスに劇場となんでも揃っている都市だった。ところが銀の産出量が減るにつれて衰退の一途をたどり、1920年頃には、ゴースト・タウンになってしまったのだ。
しかし現在のバージニアシティーは決して死に絶えた町ではない。
バージニアシティを見ようとやってくる観光客を目当てにした店が、隆盛当時のままの店構えで商売をしているし、1880年代から走っているバージニア・トラッキー鉄道も、観光用ではあるが、いまだに走っている。1861年当時のままに残されているコラー・マインで銀鉱の中へも入ることができるのだ。ここは他のゴースト・タウンとは違い、ゴースト・タウンではあるが、それを売り物にしてしっかりと生きている町なのだ。
タホ湖やここから流れ出る川は、鱒を始めとる釣り場としてもしられている。 ネバダ州から、カリフォルニア州の方向に向かって見るタホ湖。深さが490メートルと、世界で3番目に深い湖だ。湖畔には美しいオートキャンプ場もある。 「トライマラン」と呼ばれる三胴式のヨットでタホ湖へ。風が強く、まるで海のようだった。 湖をみるというだけでも行く価値のあるタホ湖。周りの自然はもちろん、水の美しさも天下一品。 カリフォルニア州とネバダ州の州境を走ってきた自転車。この道路の向こうが、カジノのホテルが立ち並ぶネバダ州。 タホ湖畔のポンデローサ・ランチでは、フライパンのような道具を使って、実際に砂金を取ることができる。ゴールド・ラッシュ当時の再現だ。 タホ湖の南岸の町サウスレイクタホ。ネバダ州側にあるこの町にはカジノ・ホテルが10軒以上オープンしている。 テレビ映画「ボナンザ」の撮影セットをそのまま西部の町のテーマ・パークにした「ポンデローサ・ランチ」。1860年代のフロンティアの町を再現してある。 ポンデローサ・ランチを訪ねると、まるでテレビ・ドラマの中へ入ってしまったような錯覚を覚える。今にもベンとか、アダムスとか、ホスなどのカートライト・ファミリーでてきそうな雰囲気なのだ。 アメリカのあちこちにあるゴースト・タウンの中でも一番大きかった町、バージニアシティー。最盛期には、4万人とも7万人ともいわれる人口をかかえていた。1859年に発見された巨大な銀の鉱脈は、「コムストック」と呼ばれ、この町の隆盛が、サンフランシスコの町を作ったともいわれている。写真の建物は、1876年に建てられた、バケット・オブ・ブラッド・サルーン。 パイパース・オペラ・ハウス。こんな砂漠の真ん中でオペラが上演されていた。 1861年当時の銀鉱の中を訪ねるコラー・マイン。 1880年代のバージニア・トラッキー鉄道。現在でも観光客を乗せて元気に走っている。向こうに見えるのは、砂漠の真ん中に残されている、バージニアシティーの全景。 「トムソーヤの冒険」などで知られる、マークトウェインも、市内の「テリトリアル・エンタープライズ」で働く駆け出しの新聞記者だった。 バージニアシティーの目抜き通り、「C」ストリートには、何軒ものアンティーク・ショップがならんでいる。ここは、昔バー・カウンターだったところにアンティーク・ガンを並べて売る店だ。 バケット・オブ・ブラッド・サルーンでは、ゴールド・ラッシュの最盛期、1849年にちなんだ、「49ナース」が出演中。 「百万長者の社交場」といわれたバーの一つ、「クリスタル・バー」。オーケストリオンという自動演奏の楽器がある。 バケット・オブ・ブラッド・サルーンは訳すとバケツいっぱいの血のサロン。当時血なまぐさい事件がよくあった店のブラック・ジャックのテーブルだ。 1867年創業のクリスタル・バーは、金メッキで作られたクリスタルのシャンデリアや、クリスタルのガラスの器で知られた店。当時もバドワイザーのビールがあったのだろうか。 ≪≪前へ 目次 次へ≫≫