ユタの自然は不思議の連続

 ソルトレークシティーのすぐ近くにあるグレート・ソルト・レイクは、水中の塩分が5〜15%と普通の海水よりも多く、人間がまるでコルクのように浮いてしまう湖だ。

 もともとは、ボンネビル湖という海につながる巨大な湖だったのだが、境目が隆起して海と分離。その後、太陽熱によってその塩分をそのままに残して干上がった部分が、グレート・ソルト・レーク・デザートという、塩の砂漠。ここは、ボンネビル・ソルト・フラッツという車の高速テスト・コースが作られているほど、平坦ところだ。

 もちろん、このしょっぱい湖にしょっぱい砂漠も大変不思議なものではあるが、それらができあがった過程を考えるとなんとなく納得はできる。ところがこのユタ州には、どうにも不思議な自然の造形物がいくつもあるのだ。それらのいくつかを撮影しようと、アーチェス国立公園を、レンタカーで訪ねることにした。

 デリケート・アーチには、駐車場で車を降りてさらに片道一時間、砂漠の中を歩かないとたどりつけない。駐車場に四〜五台の車が止まっているのをみてひとまず安心していざ出発だ。砂漠の中の遮るものがない所を、片道一時間も歩かなくてはならない。真上からはじりじりと太陽が照り付け、体が焦げ付いてしまいそうだ。突然コヨーテが襲って来たらどうしようなどと考えながら、重いいカメラバッグと三脚を抱えてひたすら歩いた。

 到着する十分位前から見えてきたデリケート・アーチは、遠くからみても、ちゃんとアーチ型になっている。いったい自然がどのようにしてこの様な巨大な岩をアーチ型に削ったのか、きっと気の遠くなるような年月がかかっているのだろう。

 次に訪れたのは、ダブル・アーチ、そしてよく折れずに残っていると感動してしまう、ランドスケープ・アーチだ。それぞれが砂漠のなかに点在しているため、ランドスケープ・アーチに到着するころには、太陽もとっぷり沈んだ後。それでもせっかくのチャンスを逃すのはもったいないと、三脚を使って必死に撮影をすませた。

 これらとは別に、もう一つ印象に残った場所がある。あの「猿の惑星」のロケ地になったことで有名な、グレン・キャニオン・ナショナル・リクレーション地区だ。グレン・キャニオン・ダムの建設に伴って作られた人造湖で、ハウス・ボートをチャーターしてやってくる水上キャンパー達が、十日以上も湖上に滞在しても退屈しないというほど、大きな湖だ。この湖はコロラド川の深い渓谷にあるため、砂漠の岩と湖の水の対比が魅力的。その人工的で無機質な雰囲気は、なんとなく地球にいるというよりは、別の惑星の世界を覗いたような気分を味合わせてくれたのだ。

グレート・ソルト・レーク・デザートのなかにある、地上を走る車の最高速度を記録するレース場「ボンネビル・ソルト・フラッツ」。大昔の海の底にたまっていた塩が、平らになって固まっているのだ。

砂漠にならずに、湖のまま残された塩水湖、グレート・ソルト・レーク。塩分が5〜15%もあるため、だれでも、コルクのように簡単にういてしまう。

塩の砂漠と塩水湖を合わせると、縦200キロ、横150キロという、巨大な塩のかたまりだ。ネバダ州のリノからソルトレークシティーへ向かう車でも、ユタ州に入るかなり手前から、地平線のかなたに、白いものが見え始める。

塩の砂漠を走る鉄道。アメリカ大陸を東西に結ぶ重要なルートだ。

トラック輸送にとってもこの土地は重要な所。インターステイト80号線。

塩の砂漠は、巨大な天然の塩田だ。グレート・ソルト・レーク・デザートには、製塩工場や化学工場が、多数建てられている。

アーチェス国立公園の中にある、デリケート・アーチ。どうもその生い立ちには、海水のたまった湖が関係しているらしい。それと、砂と岩の堆積物の堅さの違いも関係しているらしい。パーク・レンジャーの説明をうけてもいまひとつ要領をえなくて、納得できない自然の作品は、本当に不思議なものだ。

アーチェス国立公園のなかには、大小、90ものアーチがあるという。さらに、国立公園の中だけでなく、国道163号線のハイウェイ沿いにも、不思議な岩山がたくさんあるのだ。これらの岩を避けるようにして国道が作られている。

国立公園のなかのウィンド・セクション。アーチというよりは、岩山に窓が開いたような感じだ。その中にある、ダブル・アーチは、高さ50メートル、幅48メートルという大きな岩がふたつ並んだもの。

アーチェス国立公園の中のランドスケープ・アーチ。おそらく世界最長のアーチだろう。長さが89メートルもあるのだ。

アーチェス国立公園で見つけた不思議な岩、「バランスト・ロック」。昔はアーチの一部だったのだろう。

キャニオンランズ国立公園にも、数多くの不思議な岩がある。デッド・ホース・ポイント州立公園の展望台からみたキャニオン・ランズ国立公園。手前にあるのはコロラド川。

国道163号線をモニュメント・バレーの方へ向かう。ナバホ・インディアン・レザベーション入り口の所には、メキシコ人がメキシカン・ハットを被っているような岩もある。

コロラド川をせきとめるグレン・キャニオン・ダムにできた湖の円周が3000キロという、巨大な人工湖がレイク・パウエル。グレン・キャニオン・ナショナル・リクレーション地区になっている。

グレン・キャニオン・ダムができてもパウエル湖に沈まなかった「レインボー・ブリッジ」。巨大な自然のアーチで、高さは88メートルもあるという。この部分は国定公園に指定されている。

アリゾナ州側のワーウィープ・ロッジのプールからみたレイク・パウエル。向こうに見える湖畔の岩は、映画「猿の惑星」の最初のシーンに出てきた岩だ。

ナショナル・リクレーション地区に指定されているレイク・パウエルには、この風景を楽しむために、モーターボートを牽引した観光客が大勢やってくる。

モーターボートを湖上に浮かべて、この中で何日も過ごす人も多い。3000キロにもなるという湖の周囲には、入り組んだ入江がたくさんあり、何日いても退屈することがないのだ。

下の岩から217メートルもコンクリートを積み上げてできた巨大なアーチ型のダム、グレン・キャニオン・ダムは、1964年に完成している。

レイク・パウエルで過ごすために人気なのが、「ハウス・ボート」。中は大型のキャンピングカー並の設備が整っていて、レンタルできる。

レインボー・フローティング・マリーナ。レインボー・ブリッジ近くにあるモーターボート専用のガソリン・スタンド。売り上げは世界一だとか。

ユタ州には、こんな地形の国立公園もある。ブライス・キャニオン国立公園は、中西部のノースダコタ州やサウスダコタ州で見られたバッドランドの地形に近いようだが、比較的最近の陥没らしい。

コロラド川の支流、グリーン・リバーに作られたフレーミング・ゴージ・ダム。これもナショナル・リクレーション地区に指定されている人工湖。ユタ州の北東部、ワイオミング州にまたがってある。

ブライス・キャニオン国立公園の岩は、いままで見てきた岩よりも砂に近いもののようだ。この谷は50年間に30センチづつ陥没しているという。

コロラド州にまたがるダイノソア国定公園は1億4000万年前の恐竜の骨が出土されたことで有名。

実際に恐竜の骨を発掘している所を、パーク・レンジャーの説明をききながら見学できる。ダイノソア国定公園で。

ダイノソア国定公園から、フレーミング・ゴージへ登って行くコースは、地球の地質の歴史を8000万年から10億年前まで遡ってみることができる。

ザイオン国立公園の岩も、地球の歴史に深い関わりを持っている。2億年以上も前からの隆起と陥没の繰り返しによってできあがったものだ。大規模な隆起が起きるたびに、場所によって強度が違うため、このような形になったのだという。標高2056メートルのグレート・ホワイト・ソーン。

ザイオン国立公園にも、クリフ・ドウェリングをした形跡があった。

ザイオン国立公園の東側の入り口にある、チェッカーボード・メサ。

グレート・ホワイト・ソーンは、アメリカの自然の撮影で有名な、アンセル・アダムスの写真で知られる、ザイオン国立公園を代表する風景。

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