コロラド州

 「赤い水の流れる川」という意味のコロラド川からその州名をとったこの州は、アメリカ合衆国が独立してちょうど100年目の1876年に州として独立したため、「センテニアル・ステイト(百年記念の州)」ともよばれている。

 西半分は、4,000メートル級の山々が続くロッキー山脈の山岳地帯、東半分は「グレート・プレーン」という高地にある大平原からなり、平均標高が2,073メートルという、全米一高い所にある州でもある。

 恵まれた自然条件を持つこの州は、ロッキー・マウンテン国立公園、メサ・ベルデ国立公園、恐竜の発掘で有名な、ユタ州にまたがるダイナソア国定公園など、多数の自然公園を持つ。また、コロラド・スプリングス・リゾートを始め、冬はスキー、夏は避暑とサマー・スクールとリゾート施設や文化施設も充実、四季を通じて世界中から多くの観光客が集まってくる所だ。そのため、州都デンバーにあるデンバー空港は、幹線航空路の要、「ハブ」としての役目を果たし、西部諸州の中心的存在にもなっている。

 コロラド州は、古くから金鉱や銀鉱など、鉱業を中心に発展してきた州で、現在でもウラン、石油、天然ガス、モリブデンなどが産出されている。とくに、製鉄産業にかかせないモリブデンは、世界一の産出量を誇っている。

デンバーとロッキー・マウンテン

 デンバーの町を訪ねると、季節に関係なくなんとなく「ピリッ」とした空気を感じてしまう。冬だと厳しいほど冷たく、夏でも涼しいこの空気は、気温の低さというよりも、ロッキー山脈から吹いてくる、高原のきれいな空気の感触なのだろう。

 西海岸からデンバーに向かう時、真っ白な雪におおわれた巨大なロッキー山脈を越え、その先に大平原が見えてくると、飛行機はその機首をぐっと下げて着陸体制に入る。デンバーに到着した後も、町のどこを歩いていても、つねに西側にロッキー山脈が見える。デンバーは、常にロッキー山脈とともにある高原の都市なのだ。

 この地方の人は、冬はもちろんスキー、春夏秋はロッキー山麓の折々の自然を楽しむ生活をのびのびと送っている。また土地も安いので、だれでも大きな家に住むことができる。家族の健康を願い、生活をエンジョイしたいと考える人にとって、デンバーほどふさわしい都市はないのではないだろうか。

 そのため、大都市のオフィス街から会社ぐるみでこの町へやってきたという話も聞く。私の知っているオートキャンプの会社も、ワシントンD.C.からこの土地へ移転。きれいな空気と自然、今までより何倍も広いスペースのオフィスで働くことができるのが魅力だ。カメラ会社のペンタックス社も、もとはニューヨークに本社があったのだが、よりよい環境をもとめた結果、デンバーに本拠地をおくことにしたらしい。

 このように、「マイル・ハイ・シティ」といわれるデンバーは、もはやただの高原の観光都市ではない。アメリカ有数のビジネス都市に変身してしまったのだ。もっとも、ビジネス都市といっても、オフィス・ビルの間にゴルフ場があって、お昼休みにハーフ・ラウンド回るというのだから、日本のオフィス街とは根本的に違うのだが。

 最初にこの町を訪ねたのはいまから20年以上も前のこと。第二次大戦中に日系人の収容所が作られたことから、この町には日系人が数多く住み着いていた。そんな日系人達が日本人街を形成していたのだ。そしてそこには、懐かしいアルマイトのヤカンや、黄色い竹のはしが置いてある、日本食の「食堂」があったのだ。その食堂は、その日系人の人達が移住してくる前の日本の食堂そのままだったのだろう。その食堂に入った時に、なぜか懐かしい感じがしたのを覚えている。

 久し振りにその日本人街へ入ってみた。デンバーの発展と共にすっかり変わってしまった日本人街には、ロッキー山脈をのぞむ高層ビルが立ち並び、もはや日本のふるさとのにおいはしなくなってしまっていた。

コロラド州の州都デンバー。、州議事堂の正面に市庁舎を建てるなど、この州議事堂を中心に町造りが計画されているようだ。

西部の経済や文化の中心地として発展するデンバーに、ロッキー山脈の観光都市としての面影をみることはできなくなりつつあるようだ。

州議事堂や市庁舎の前から、オフィス街の方へ入ってくると、一本の広い道路に出る。ここは公共交通機関のバスの専用道路だ。道路の両側の歩道は思い切り広く取ってあり、長く続く市民公園の役割も果たしているようだ。クリスマス・シーズンに訪れたこの通りは、美しくデコレーションがしてあり、華やいだ雰囲気だ。

デンバー市内にある広大な敷地を有する市民公園には、恐竜の骨が展示してあり、子供達に人気の自然史博物館があった。

市民公園で野鳥の群れが遊ぶ。向こうに見えるのがデンバーのオフィス街。

第二次大戦後作られた日本人街。日本の一昔前を思い出させてくれる。

ロッキー・マウンテン国立公園の入り口の町エステス・パーク。古くから、ロッキーのリゾートとして栄えてきたこの町は、観光、登山客のベースキャンプ。

ロッキー山脈の中のリゾートとして古い伝統を誇る、エステス・パークの町並み。

標高2000メートルを越すエステス・パークからロッキーへ。さらに勾配がまして行く。

ロッキー・マウンテン国立公園を抜ける国道34号線は、標高3594メートルのフォール・リバー峠を越える。

国立公園内では、こんなかわいい動物ものびのびと暮らしている。

ロッキー山脈の峠越えの道路のあちこちにある「シーニック・オーバールック」。ここへやってくる人間は危害を与えないので、野生動物達も安心して近づいてくるのだ。

「コンチネンタル・ディバイド(分水嶺)」は、標高3278メートルのミルナー峠の所。

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