ハワイ州

 アメリカ合衆国に最後に加わったハワイ州は、ハワイ王国という独立国家として長い伝統を持っていたのだが、1898年、王家の没落とともに、合衆国に併合された。

 太平洋の真ん中にあるハワイ諸島は、小さな島々がたくさん集まって形成されており、全部合わせると日本の四国の広さ位。年間の平均気温が二三・三度という、快適なリゾート地だ。

 国際線の飛行機が飛び、ホノルル、ワイキキという人気リゾートを持つオアフ島を中心に、ハワイ島、マウイ島、モロカイ島、カウアイ島の五島をメインとする八島を中心に、大小120以上の島があるという。

 もともと火山列島であるハワイ諸島を地質学的に見ると、北にあるカウアイ島が一番古く落ち着いており、、南の方のハワイ島やマウイ島は、現在でも活火山が元気に活動し、今なお島の形成中といった感じだ。

 第二次大戦までは、太平洋の真ん中という立地条件から、軍事基地としての役割も大きかったが、1868年に最初に日本人が移民して以来、大量の日本人がハワイに移住、現在人口の33%が白人系、そして次が日系人で、二五%を占めているといわれている。

 1974年には、日系人の知事も誕生、ますます日本との関係が深くなってきているハワイは、もちろん日本から海外旅行の人気ナンバー・ワンだ。

太平洋の十字路オアフ島

 ハワイ王国時代から、「人の集まる島」だったオアフ島は、現在でも州都のあるホノルルと、世界的に有名なワイキキ・ビーチをもつことで、ハワイの中心の島となっている。太平洋の真ん中の十字路といわれるこの島は、アメリカ旅行の初期には、船旅にしても、空の旅にしても、いずれの場合でも寄港地として利用されてきた。現在、海外旅行のほとんどが航空機を利用し、目的地まで直行便が出る時代になってもその人気は衰えない。

 このように、長年にわたって世界中から注目され続けるハワイの魅力は、やはり気候の良さからくる解放感だろう。遠い島でゆっくりバケーションを楽しみたいと言う人にとってここは最適の場所。中でもオアフ島は、ノン・ストップ便が飛び、島内には設備の整ったホテルが立ち並ぶという便利さから、ハワイ諸島一番の人気を持ち続けているのだ。

 長年アメリカ行きを続けている私も、初期の時代は、飛行機が給油するという関係もあり、行きと帰りに必ずホノルル空港へ立ち寄った。また当時オアフ島には、私がアメリカを撮影する時に利用しているフィルム、コダクロームの会社、コダック社直営の現像所もあり、日本で現像するよりも早く、安くできるということで、とても便利だったのだ。

 もっとも、中継点としてハワイに立ち寄っていた頃は、いつでも撮影できるという安心からか、ハワイに到着したとたんに、ただの観光客に変身。フィルムはすべて現像に出し、カメラはバッグにしまって、アロハシャツに着替え、いそいそとビーチへ飛び出したものだ。そんな私が取材地としてハワイをみたのは近年のこと。ハワイがただの良く行く観光地ではなく、アメリカの一部であるという自覚が生まれてきてから。ハワイの写真が比較的新しいものが多いのはそのためだ。

 オアフ島を見直すという理由で、今度は浜辺から海をみるのとは逆に海から浜辺を見て見ると、太平洋航路の船旅を向かえるホノルル港が歓迎のセレモニーを行っていたという「アロハ・タワー」の存在感や、ワイキキにずらりと並ぶホテル群は、まさに「人の集まる島、オアフ島」といった感じだ。

 世界の社交場、ワイキキ・ビーチはあまり人が多すぎるので、あまり観光客が行かないビーチへ行こうと、島の一番東側、ハナウマ湾を訪ねた。地元の人しかこないんですよ、という言葉を聞いて、さぞかし静かなビーチだと思ったら、なんと、オアフ島に住む人が全員集まったのではないかと思われるほどの大騒ぎ。地元の人、観光客と入り乱れて、まるで真夏の湘南海岸のようだった。オアフ島の人々はよっぽど人が集まる所が好きで、人が訪ねてくるのが楽しいらしい。

もうすぐホノルル・インターナショナル空港に到着。機内の窓から、ワイキキ・ビーチやダイヤモンド・ヘッドがはっきり見える。

世界の社交場、ワイキキ・ビーチ。大勢の観光客と豪華なホテル群、そしてダイヤモンド・ヘッドがトレード・マーク。

ワイキキ・ビーチのホテル群の後ろにあるタンタラスの丘からは、ワイキキの全景を眼前に見ることができる。ワイキキの有名なホテルは、ほとんどこの写真の中に収まっているのだ。ワイキキの向こうには、カルデラ式の火山の跡をとどめるダイヤモンド・ヘッドも見える。

ハワイの大王、カメハメハ像。

太平洋航路の船を迎えるアロハタワー。

海抜230.3メートルのダイヤモンド・ヘッド。地元の人はレアヒ(火の場所)と呼ぶ。

ワイキキの賑やかなホテル群。ヒルトン・ホテルのレインボータワーもよく見える。

どこからかハワイアンのメロディーが流れてきそうな、夕暮れ時のワイキキ・ビーチ。

アラワイ・ヨット・ハーバー。石原裕次郎のヨットもここに停泊してあったという。島内に別荘を持ち、ヨット・ハーバーにヨットを持って始めて、正式な「ハワイ族」になれるのかもしれない。イリカイ・ホテルのバルコニーから、むこうにはアラモアナ地区のホテルやコンドミニアム、ショッピング・センターが見える。

別名「ピンク・レディー」の愛称もある、ロイヤル・ハワイアン・ホテル。

ワイキキのホテル群のすぐ後ろには、アラワイ運河のアウトリガー・ボートが。

オアフ島の人々の暖かい歓迎に気をよくしてか、何度も何度もこの島にやってくる観光客が大勢いる。世界の社交場、オアフ島のワイキキ・ビーチ。

ワイキキ・ビーチは、正式には、東の方から順に、クリーンズ・サーフ・ビーチ、プリンス・クヒオ・ビーチ、ワイキキ・ビーチ、フォート・デルッシー・ビーチ、そしてこのヒルトン・ラグーンなどと分かれている。

ハワイは、アイスクリームがおいしい所。ワイキキのレインボー・アイスクリーム。

ハワイアンの伝統文化を大切に守り続けようという努力も続けられている。

ワイキキ・ビーチには、ウィンドサーフィンを貸し出したり、レッスンをしたりする出店がたくさんある。日光浴だけなく、スポーツを楽しむ人も多いのだ。

健康維持、体力作りを大事に考える人が増えている中、ホノルル・マラソンは、いつも多くの参加者を集めることで有名だ。

快適な気候の中では、車やバスに乗るのがもったいないという人も多く、「モペット」と呼ばれるレンタル・バイクが人気を集めている。

もちろん欠かせないのが自転車。ワイキキ・ビーチでもリゾートの足として利用している人が大勢いた。

オアフ島の一番東側のココ・ヘッドと呼ばれる196メートルの火山の先には、まるで火山の火口のような形のハナウマ湾がある。湾内は、美しい珊瑚礁になっていて、地元の人々お気に入りのビーチだ。週末のビーチは、まるで全員集合といった賑わい方。

タンタラスの丘へ登る道、ラウンド・トップ・ドライブから見たホノルル市街の夜景。ホノルルやワイキキでは、東西南北の変わりに、ダイヤモンド・ヘッド、エバ。マカイ、マウカという言葉で方向を表すことが多い。これは、マウカの方角に立って、マカイの方向を見ているところ。

カピオラニ・パークのワイキキ・シェルでは、フラダンスのショーを無料で見ることができる。カピオラニ・パークには、古い伝統を持つホノルル水族館やホノルル動物園もある。

ホノルルは、ハワイ州の州都である関係上、州議事堂を始め、合衆国政府のオフィスビルも建ち並んでいる。また同時に、王国の名残を残すイオラニ宮殿やカメハメハ大王の像なども残っているのだ。

島内のビーチも様々な特徴を持つ。ここは世界中からサーファーが集まる、ノース・ショア。

ゴルフ天国ハワイ。ハワイアン・オープンで知られる名門、ワイアラエ・カントリー・クラブ。

島内にたくさんある火口のひとつ、通称パンチボール。第二次大戦の戦没者などを祭った国立墓地になっている。

ハワイ大学のマノア・キャンパス。イースト・ウェスト・センターは、1960年に発足した、環太平洋の文化交流を目的とする、国家的機関だ。

オアフ島の中央部には、広大なパイナップル畑が続いている。1967年、始めてハワイを訪れた時、畑の近くの裏道で見つけた売店。

2本通っている高速道路、H-1とH-2を走り終わったあたりがパイナップル畑、もっと先にはさとうきび畑が広がっている。

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