インディアンとカウボーイの祭り、ペンデルトン・ラウンドアップ

 州東部、イースタン・オレゴンの代表都市、ペンデルトンは、ペンデルトン・ラウンドアップというお祭りの町だ。このお祭りの期間中、人口1万5千人という小さな町は、倍以上の人であふれ、熱気に埋もれるのだ。「ラウンドアップ」とは、予選を繰り返しながら決勝まで戦っていく競技、という意味で、お祭りの内容を一言で言えば、カウボーイ・カントリーの腕自慢大会だ。1910年に始まり、毎年九月の中旬に開催されるこのお祭りは、全米のロディオ大会の中でも伝統ある屈指のものだ。

 いつもは人影もまばらな、小麦やポテト畑の真ん中の町ペンデルトンのメイン・ストリートが、どこから湧き出てきたのかと思うほどの人波で溢れている。これから、ラウンドアップの祭りを盛り上げるの、「ウェストホー・パレード」が行われるのだ。

 町ができて100年というこの年は、例年にもまして人出が多いようだ。臨時のオートキャンプ場になっている空き地は、全国から集まったキャンピングカーで超満員。

 パレードの行列を良く見ると、オレゴン街道の歴史、西部開拓の歴史が上手に現されているのが分かる。アメリカ中で毎日のようにおこなわれているそこらのパレードとは、一味も二味も違うものだ。もちろんインディアン達も参加しており、「ミス・インディアン」や、地元のウマティラ・インディアン居留地からは、酋長も参加していた。

 パレードが終わるといよいよ本番。まずは裸馬を乗りこなす「ベアバック・ブロンコ・ライディング」から。そして、馬に乗ったカウボーイが、投げ縄を使って子牛を掴まえる「カーフ・ローピング」、大きな角のある牛に、カウボーイが馬から飛び移り、角を持って地面にねじ伏せる「ブルドッギング」、鞍をつけた荒馬に乗る「サドル・ブロンコ・ライディング」などなど、迫力たっぷりの競技が続く。

 手に汗握る競技の途中には、一息いれるため、インディアン達の踊りが披露されたり、ピエロが登場したりして場をなごませてくれる。そしてそれが終わると、大きな牛を乗り回す「ブラーマ・ブル・ライディング」競技や、野生の荒馬をロープで取り押さえる競技「ワイルド・ホース・レース」が始まり、再び緊張の連続だ。

 たくさんの競技の中で、私が一番おもしろかったのは、「ワイルド・カウ・ミルキング」というもの。逃げ回る乳牛を追いかけて取り押さえ、牛乳をミルク瓶にいれる競争なのだが、迫力ある中にもカウボーイ達がなんとなくこっけいでユーモアたっぷりなのだ。

ペンデルトンの町ができてからちょうど100年に当たる年の「ウェストワード・ホー・パレード」。先頭はアメリカ国旗を掲げる地元のカウボーイとカウガール。ウェストワード・ホーとは、西部開拓へいざ出発という意味。

まず先発の幌馬車隊によって開拓が進められた荒野の大平原に、次に上品な「レディー」がやってきた。ウェストワード・ホー・パレードで。

ラウンドアップは、カウボーイとインディアンの共同のお祭り。「ジュニア・ミス・インディアン」。

「アメリカン・インディアン・ビューティー・コンテスト」では「ミス・インディアン」が選ばれる。

ペンデルトン・ラウンドアップのロディオ大会の開会式には、共同主催者として、ウマティラ族の酋長が堂々入場する。アメリカ国旗を掲げるその姿は、威厳に溢れている。

毎年訪ねて、すっかり顔見知りになった酋長の元気な姿を見るのが、このお祭りの楽しみのひとつ。

酋長達の後に続いて、ミス・インディアンも登場。ロディオ大会の開会式をもりあげる。

ロディオ大会の開催される馬場は、荒馬によって踏み荒らされている。そんな会場でも、インディアン達は、少しも不満気な様子を見せない。

ウマティラ・インディアンの人々は、期間中、ラウンドアップ会場の隣に用意されたキャンプに持参した「ティピー」を組み立てて生活する。

ラウンドアップのロディオ大会の一番の見せ場は、荒馬を乗りこなす、「ベア・バック・ブロンコ・ライディング」と、「サドル・ブロンコ・ライディング」。「サドル・ブロンコ・ライディング」で、競技場のバリヤーの後ろで気合いたっぷりに出番を待つライダー達も、緊張のおももちだ。

大きな角のある牛を馬に乗って追いかけ、追い付いたら牛に飛び乗り、角を持って牛を地面にねじ伏せる、「ブルドッギング」。

「ワイルド・カウ・ミルキング」は、カウボーイ達の牧場での普段の姿を垣間見ることができる、ほのぼのとした競技。

牧場で生まれ育った、ペンデルトンの子供達。お祭り期間中の1日、ロディオの競技場はバーベキュー会場になる。

競技場の中にある、「ペンデルトン・ラウンドアップ・ホール・オブ・フェイム」というロディオの殿堂。代々、大会に功績のあった人を称えるもの。

バリヤーの後ろから話された子牛を追いかけ、投げ縄で取り押さえ、4本の足をロープで縛り上げる「カーフ・ローピング」。人馬一体のの技術が要求される競技だ。

どんな勇気のあるカウボーイでも恐れをなすという、「ブラーマ・ブル・ライディング」。牛に振り落とされると、牛に踏みつぶされないうちに、すかさずピエロが助けにきてくれる。

エキサイティングな競技が続くラウンドアップ会場では、会場をうめつくす観衆によって、ウェーブが繰り返される。「ブラーマ・ブル・ライディング」の競技で。

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