オレゴン州

 カリフォルニア州ロサンゼルス、サンフランシスコ、ワシントン州シアトルなどの大都市に挟まれたオレゴン州は、これという特徴もなく開発も遅れ気味という印象もあり、日本人にとってはあまり存在感のない州だった。しかしアメリカ国内におけるオレゴン州は、1820年代から1840年にかけて、その名をはせた西部開拓の街道の「オレゴン街道」の終点であり、そこから名前をとった由緒正しき州として、古くから一目おかれている土地。また地元の人にとって、幌馬車隊のルートをそれ、一獲千金をねらってゴールドラッシュに飛び込むようなことはせず、終点までやってきて堅実に農業を営んできた自分達の祖先は、国中に誇れる存在なのだ。

 農業とともに盛んなのが貿易。州都ポートランドには、コロンビア川の河畔に広がる都市で、外洋からの大型船が直接入港できる国際貿易港がある。アメリカ国内の遠いミシシッピー川以東へ物資を陸上輸送するよりは、太平洋をはさんだアジア諸国へ船で輸送したほうが安くつくこともあって、アジア各国との関係が年々強くなってきているようだ。

 またオレゴン州について日本では、自然保護が盛んな州として、また自然がそのまま残っている州としてテレビなどで紹介されるようになってきており、最近では貿易相手としてだけではなく、訪れて見たい観光地としても注目されてきている。

日米両方の注目の的、オレゴン州とポートランド

 10年以上も前、オレゴン州で日本に向けてのPRのための企画会議に参加したことがあった。私が制作に参加している、アメリカ取材番組のコースにオレゴン州をいれて欲しいと言うのだ。地元の人の熱意に押し切られこの会議に参加した私だったが、この時はあまり乗り気ではなかったのだ。

 当時、オレゴン州とその第一の都市ポートランドは、同じ太平洋を望む所にありながら、日本にはほとんど知られていなかった。オレゴン州一周のオートキャンプツアーに参加したりして、「オレゴニアン」と呼ばれる地元の人々にも数多く接してきた私には、素敵な思い出がたくさんある所だ。だれにも教えないで、自分だけの州にしておきたいという気持ちが大きかったのだ

 素朴な自然を多く残したこのオレゴン州を、エコノミック・アニマル達によって掻き回されてしまうのは、絶対いやだという思いもあり、取材には同行したせに、番組でコメントを求められると「本当はそっと隠して置きたい所なのですが・・・」と、消極的な紹介になってしまうのだ。

 私の心配も杞憂に終り、オレゴンの自然は今も昔のままだ。もっともオレゴンの人は、開発してお金も受けに利用しようなどとする人に、簡単にだまされるような人達ではない。なにを隠そう、私がオレゴン州で何よりも素晴らしいと思うのが、この地元の人達の人柄なのだ。物静かなのだが、内に秘めた強さを感じさせてくれる彼等は、まるで古き良き日本男児のようだ。うまい話しにそうそう簡単にのっかってくるような人達では無いのだ。私の他にもう一人、オレゴン州に惚れ込んでいる人がいる。20年前、私が結婚式を挙げたときの立ち会い人、ロバートだ。ニュージャージーからニューヨーク、ジョージア州のアトランタ、アラスカ州フェアバンク、ペンシルベニア州と各地を移り住んだ彼が、最終的に決めた永住の地がここ、オレゴン州だ。ポートランドから車で20分のところにある彼の家は、200坪はあるという広大なもの。周囲は森に囲まれているという、最高の環境だ。これだけの家が、北東部やサンフランシスコの約半分の値段で買えるのだ。

 何回となく引っ越しをかさねてきたロバートにして、「アメリカ各地にはそれぞれの良さがあるけれど、住みごこち、物価、教育制度、そのどれをとってもここに勝る所はない。もう他の土地には住めないだろう」と言わしめる町、それがオレゴン州、ポートランドだ。

バラの都、ポートランド。

ポートランドは、カスケード山脈のすぐ近く、自然がとても身近に感じられる町だ。ピトック・マンションからみたマウント・フッド。

ポート・オブ・ポートランド。ポートランド港は、コロンビア川を太平洋から100キロ以上も上流へ入った、ウィラメット川との合流点にある。

ポートランドの正面を流れるウィラメット川。この町の再開発は、ダウンタウンを抜けていた高速道路、インターステイト5号線を対岸に移すことから始まった。

インターステイト5号線のバイパス、405号線の橋も再開発計画で作られた。フレモント・ブリッジとポートランド港。港内を行く外輪船は、ミシシッピー川のものよりも古い歴史を持つ。

メイン州にある同名の町からその名前をとった、ポートランド。クリスマスのデコレーションも、港町らしくボートを使って盛大に行われている。

このあたりの川にはたくさんのサーモンが生息している。その名前を冠した、「サーモン・ストリート」にある噴水。ウィラメット川河畔の美しい公園。

毎年9月に大勢の市民が参加して行われる、ポートランド市民マラソン。ウィラメット川のスチール・ブリッジで。

7月4日の独立記念日の夜には、ウィラメット川河畔の公園で野外バーベキーキュー大会と、花火大会が盛大に開かれる。

急激な開発を望まないポートランドでも、少しずつ、近代化の波は押しよせてきているようだ。ダウンタウンのポートランド・プラザ・ビル。

都市交通の進歩ではアメリカでトップクラスをはしるポートランドに登場した、市電「マックス」。

ダウンタウンにある裁判所、「パイオニア・コートハウス」の隣に作られた小公園、パイオニア・コートハウス・スクエア。お祭り広場といった、野外ステージもある。

ポートランドの建築を代表する、マイケル・グレーブス設計の「ポートランド・ビル」と「ポートランディア像」。

市バス網の充実もポートランドの自慢だ。5番街と6番街には、バス専用道路も設置されていて、全米のモデル都市にもなっている。

バラの町といわれるポートランドは、6月のローズ・フェスティバルの町。ダウンタウンのウィラメット・センターの前にも、デコレーションが。

強烈なリーダーシップで、ポートランド市の再生を計っている名物市長、バッド・クラーク氏のデスク。

ダウンタウンに作られた、郊外型のショッピング・モール、パイオニア・プレース・ショッピング・センター。高級店やファースト・フード店が評判。

スポーツ・マインドをもった町、ポートランドを代表するのが、郊外にある、ナイキ・シューズの本社。ダウンタウンには専門店も出現した。

アウトドア・スポーツもさかんなこの町には、巨大なアウトドア・スポーツ店、ジーアイ・ジョーズもある。

オレゴン州では、買い物をする時にセールス・タックス(消費税)がかからない。買い物天国とも言えるオレゴン州のザ・リアル・マザー・グースの店。

1873年に建てられた、パイオニア・コートハウス。当時のこの地方の建物を代表するものだ。内外の修復工事をしながらも、この周囲の町並みの景観を保ち続けている。

1867年に創立された、ルイス・アンド・クラーク・カレッジ。学生数3000人と、少数精鋭の名門私立大学だ。西部開拓当時の探検隊、ルイス・アンド・クラーク探検隊にちなんだ大学。

ウィラメット川の東岸の広大な敷地にある、ユニバーシテシー・オブ・ポートランド、ポートランド大学のクリスティー・ホール。

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