世界に誇るロサンゼルスのビーチ群

 ウエスト・コーストというと、だれもが明るい太陽がサンサンと降り注ぐ海岸風景を思い浮かべるだろう。実際、南カリフォルニアに数多くある超一級のビーチ群は、そのイメージにぴったりのものばかりなのだ。そこで、グレーター・ロサンゼルスの北の外れから、南に向かって順にビーチを訪ねてみた。

 まず最初はベンチューラ。レモンの生産が盛んな所だが、最近ではアウドドア・ウェア・メーカー、パタゴニア社の本社の町として知られている。

 海岸づたいに州道一号線を南下すると到着するのは、マリブ。サンタモニカが俗物化してしまったと嘆いている人々に好まれているビーチで、サンタモニカに比べると砂浜が狭く、プライベートな雰囲気が味わえる所だ。そして次が有名なサンタモニカ。一時は斜陽化の危機もあったらしいが、メイン・ストリートにずらりと並ぶ高級店は、現在もウエスト・コーストを代表する景色のひとつだ。昔と変わらない姿を見せてくれるこのビーチだが、あたりの地価の高騰はかなりのもの。他のビーチではだれも見向きもしないような小さな家も、サンタモニカのビーチに近いというだけで、大変な価格がついてしまうのだ。わずかな土地でも莫大なお金に変わってしまうということで、以前から静かに暮らして来た人達の生活やその性格もだんだん変わってきてしまっているようだ。

 サンタモニカのすぐ隣が、ローラー・スケートで知られるベニス・ビーチ。その名前からも分かるように、イタリアの古い街ベニスを意識した街造りが魅力。

 マリン・レジャーのリゾートとして最近開発されたマリナデルレイのビーチ、続いてマンハッタン・ビーチ、レドンド・ビーチと過ぎると、港につながれたクイーン・メリー号のホテルが売り物のロングビーチに到着する。そしてその先が、サーファーあこがれのビーチ、ハンティントン・ビーチだ。

 地中海のリゾート、リビエラにも例えられるニューポート・ビーチの隣、ラグーナ・ビーチはその美しさでは西海岸でも一、二を争う所だ。そしてこの先、ニクソン元大統領が住んでいたサンクレメンテ・ビーチあたりまでがロサンゼルス郊外のビーチ・リゾートといわれる一帯だ。さらにこの先、大小さまざまなビーチは、メキシコ国境に近い街、サンディエゴまで続いていく。

 ロサンゼルスに住む人にとっての一番の魅力は、アメリカ第二のビジネス都市で働け、なおかつまわりにこれほど美しい海岸がひろがっているということではないだろうか。

幅の狭いビーチの後ろには海岸ぞいの山脈が迫っている。海に面した別荘が建てられる場所も少ないことから希少価値も高く、最近高級リゾート化が進んでいるのがマリブ・ビーチ。

ちょっと時間があればすぐにビーチにでて日光浴。これもロサンゼルスに住んでいればこそ、まるでニューヨークの人がセントラル・パークに行くような感覚だ。マリブ・ビーチ。

マリブ・ビーチの後ろには市営の駐車場が完備されている。「カンティーン」と呼ばれる移動式のファーストフードの店も開かれたりして、まるで市民公園か遊園地のよう。

ベンチューラの海岸に面した、パタゴニア社のジェニファー・リッジウェイ夫人の自宅。海岸には近くの小学校の生徒が、潮の満ち引きの授業にやってきていた。

潮が引いた海岸にはタコのような小動物が。ジェニファーのご主人、写真家リック・リッジウェイ氏も課外授業に一役勝っていた。

サーフィンに最適の波がくる場所には、週末になると大勢のサーファー達がキャンピングカーにのってやってくる。

リッジウェイ夫妻の家は、台風がきたら波にさらわれてしまいそうなほどの海際に建っている。ダイニングの三方の窓からは、太平洋の海が見渡せるのだ。

海辺や海底の地形、さらには沖にある島の位置など、さまざまな要素によって、サーフィンに向く波がくる場所が決まってくる。ベンチューラの海岸で。

古くからロサンゼルス郊外のビーチ・リゾートとして栄えてきたサンタモニカは、砂浜の幅が広くビーチ・バレーなどに最適。砂浜は市民公園の役目の果たしているようだ。

アメリカのビーチ・リゾートのあちこちでみられる、「ピアー」と呼ばれている桟橋。サンタモニカのピアーから見た、サンタモニカのダウンタウン。

サンタモニカはまた、ボディー・ビルの盛んな所でもある。世界的に有名な「ゴールド・ジム」で鍛えた肉体美を見せてくれるカップル。

サンタモニカでふと上を見上げると、別荘の窓から女性がこちらに向かってポーズをとってくれた。

サンタモニカ・ビーチから隣のベニス・ビーチまで自転車専用の道路が続いている。この道路がローラー・スケートに最適なのだ。

ロサンゼルスに住む人の最大の関心事は、体力作り。サンタモニカの町では、ジョギングをする人の姿があちこちで見掛けた。

ベニス・ビーチは、スケート・ボードやローラー・スケートのメッカ。そのための施設も充実している。

ベニス・ビーチに来ていた移動式のファースト・フード店「カンティーン」。一番の売れ筋はやはり「ホットドック」。

車体そのものをホットドックの形にしてしまったカンティーン。ベニス・ビーチで。

L.A.P.D.、ロサンゼルス・ポリス・デパートメントのパトロールカー。警察官も、ベニス・ビーチの雰囲気を壊さないように、ショートパンツにピストル姿。

ベニス・ビーチの目抜き通りは、ローラー・スケートのレンタル・ショップとウォール・ペイントが売り物。だまし絵のようなウォールペイントが描かれたこの建物は、いまやロサンゼルス名物。

ベニス・ビーチの姿を描いたウォール・ペインティング。このペインティングに登場しているのは、ここに毎日のようにローラー・スケートでやってくる名物人間ばかり。

自宅からローラー・スケートやスケート・ボードでビーチまで。ベニス・ビーチでは、ローラー・スケートやスケート・ボードはまるで自転車と同じような交通機関だ。


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