ルイビルとレキシントンの競馬

見渡す限り一面の「ブルー・グラス」。この地方名物の真っ青な芝生を眺めるのを楽しみに訪れた、ケンタッキー州。

何年ぶりかの干ばつの影響で、「今年のブルーグラスは、本物の色じゃない」という話を聞かされてはいたが、それでも期待に胸を膨らませて、軽飛行機をチャーターして乗り込んだのだ。いよいよ離陸、期待を込めて上空高くから見たケンタッキーの畑は、見渡す限り…赤茶けた色に染まっていたのだ。

ミシシッピー川の支流、オハイオ川河畔の都市ルイビルは、ケンタッキー・ダービーの町として知られている。その上空を飛んだ時に見えたダービー会場の「チャーチル・ダウン」も、ブルー・グラスに囲まれていないせいか、ただの野外競技場のように見えてしまうのだ。

バーボン工場や貯蔵庫を見ながら州の東へ、州都フランクフォート上空を越え、レキシントンへ近付いた。変わって行く下界の景色をみながら、ケンタッキーはやはり競馬の州なのだという認識が深まってきた。サラブレッドの育成が重要な産業になっているということが、空から見ると一目瞭然なのだ。広大な平原が、いくつもの白い柵できれいに区切られている。遊んでいる土地などまったくないように、幾何学模様がどこまでもつながって続いているのだ。

軽飛行機を下りて、さっき上空から見たルイビルにあるダービー会場、チャーチル・ダウンに行ってみることにした。1895年に建築された会場は、さすがに古い伝統を感じさせてくれるが、観光客がちらほらといるだけの平日の会場では、ダービー当日何百頭ものサラブレッドが繰り広げるレースを、何万人という人が集まってエキサイティングに見学する様子を思い浮かべる事はできない。シーンと静まり返った会場には異様な雰囲気さえ漂っているような気がしたのだ。

ルイビルよりもさらに牧場の数も多く、サラブレッドも多く育てているという、レキシントン。州立の「ケンタッキー・ホース・パーク」という、馬をテーマとしたテーマ・パークがあるというので、楽しみに足をのばしてみた。

馬術競技会、「ホース・ショー」をやっている大きな馬場の奥には、広大な厩舎がある。実際に馬を飼っている人が、馬の手入れのために使用する事もできるし、競技会のための準備や訓練のための施設もあるのだ。自宅に馬場がないひとでも、この州立公園を利用すれば立派にダービー馬を育てる事ができるようになっているのだ。

地鳴りのような音と大勢の人の歓声に誘われて着いたのが、「ポロ」の競技場だ。アメリカの馬、といえば「ロディオ大会」のイメージしかなかっった私には、少々意外な光景だ。もっともよく考えて見れば、ダービーだってもともとはイギリスのロンドンで行われていたものだ。同じヨーロッパのスポーツ、ポロ競技がアメリカ入って来てもおかしくはないはずなのだ。生まれて始めてこの目でみる、「ポロ」には、ただただ「よくあんなに高い所から、あんなに小さな球を打てるなあ」と感心するばかりだった。

いつかは、本場イギリスでのダービーはもちろん、是非アメリカでの本場、ケンタッキーでのダービーも実際にこの目で見て興奮してみたいものだ。

競走場産業に関しては、ルイビルよりもレキシントンのほうが盛んなようだ。有名なキーンランド競馬場のすぐ裏で見つけた、サラブレッドを育てている牧場。

ケンタッキー・ダービーの会場になる、ルイビルの「チャーチル・ダウン」。1875年に始まったこのレースは、毎年5月最初の土曜日に開催される。

チャーチル・ダウンのシンボルの塔が見える。ダービー大会の特別席へ通じる入り口付近で。

ケンタッキーにはこのような大きな牧場が何軒もある。夢はダービー出場の競走場を育てる事。

レキシントンの「ケンタッキー・ホース・パーク」は、馬をテーマとした州立のホース・パークだ。中ではウェスタン・スタイルの「ホース・ショー」も行われていた。

ケンタッキー・ホース・パークの入り口の看板のかわいらしいロゴ・マーク。午年の私にとってはとても身近な公園だ。

馬の顔もなんとなく優秀そうにみえる。ケンタッキー・ホース・パークにて。

週末、ケンタッキー・ホース・パークではさまざまなイベントが開催される。ホース・ショー参加者のゼッケン。

州民は、大会に参加するだけでなく馬の手入れのためにも、よくこの公園を利用する。

イギリスの伝統を伝える「ポロ」の競技は、レキシントンの人々にも大人気だ。ケンタッキー・ホース・パークのポロのフィールドで。

走る馬の上から、地上の小さな球を打ちあう、ポロ。アメリカの競走馬の専門誌「サラブレッド」の取材班も来ていた。

雑誌「サラブレッド」の取材班は、家族連れ、ペット連れでの仕事だった。

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