パイプステム・オートキャンプ場

1970年以来、私は撮影や取材でアメリカへ行った時は、主に大型のキャンピングカー「エアストリーム」を利用している。牽引車の後ろにトレーラー式のキャンピングカーをつないで旅行するのだ。

もちろんウェスト・バージニアのアパラチア山脈の撮影中もオートキャンプ場を利用したのだが、ここのキャンプ場は、州立の公営オートキャンプ場としては抜群に素晴らしい所なのだ。そこで、このキャンプ場を紹介するのと共に、私が旅行中にどういう所に泊まっているのか、少しだけ紹介しよう。

たいていの場合は、キャンプ場の設備がきちんと整っているということから、民間の会社が経営するオートキャンプ場に泊まることが多いのだが、それぞれの目的地で評判のよい公営のオートキャンプ場を見付けると、泊まってみることにしている。そんな中で、一番素晴らしかったのが、このウェスト・バージニア州の州立公園になっているパイプステムだ。設備の点でも、まわりの自然の点でも、民間のキャンプ場に勝るとも劣らないほどの素晴らしさなのだ。ウェスト・バージニア州内には、このほかにも20ケ所以上も同じような設備のオートキャンプ場があるのだ。

キャンピングカーを引っ張って行けば、予約なしでも泊まれる所が多いのだが、パイプステムの場合は評判がよく、人気もありそうなので、東京から予約金を送って、スペースを開けておいてもらった。

キャンパー達の多くは、3日から1週間位の予定で来ている家族づれ。私と同じトレーラー式のキャンピングカーを牽引して来ている人は、到着するとすぐ牽引してきた車を切り離して、周囲に、椅子やテーブルを持ちだしたり、車からサイドテントを引っ張り出して居心地のよいポーチをつくったりしている。高原の涼しい空気の中、夜を野外で過ごすために、ポーチを小さなランタンでデコレーションしている家族もいた。

また、小型のトレーラー式だが、折りたたみのテント式になっている、テント・トレーラーを引っ張って来た人は、家族総出で平らなスペースを見付けてテントを組み立てる。普通の乗用車にテントを積んできた人は、車の脇のきれいな芝生の上にテントを広げれば、簡単にテント・キャンプができあがるのだ。大勢の家族づれで来ている人の中には、夜寝るためのテント、食事用の防虫用の網を周囲にはったテントとか、いくつものテントを手際よく組み立てている人もいた。

家族づれの男性と話をしてみた。小さい時からボーイスカウトなどで自然に親しんできた彼は、どうしても奥さんと娘さんをキャンプに連れてきたかったのだそうだ。しかし、奥さんはコンピューター会社の社長秘書という、トレンドディーなワーキング・ウーマンだ。自然だけのキャンプでは普段の生活とのギャップがあるというので、テレビやトースターまで持参してきたのだという。実際、奥さんのほうも、始めてのキャンプの初日ということで、とまどっている様子だった。

一番楽しそうなのは、大勢のグループで、何台ものキャンピングカーに運転席がついている、モーターホームという車に分乗してきたグループ。食事の用意もパーティー気分で食後にはキャンプファイヤー。アメリカ人のキャンプにとってはなくてはならないマシュマロのトーストももちろん一緒だった。

普段使っている乗用車のあとに、「トラベル・トレーラー」を引っ張ってくれば、いつでもインスタントの別荘が出来上がる。

この家族は、毎年サマー・ホリデーを楽しむために「テント・トレーラー」を買って、自宅のガレージの脇にいつも置いてあるのだそうだ。

これが大型の「トラベル・トレーラー」。トレーラーの部分を牽引して来て切り離し、サイドテントを張り出す。その下にテーブルや椅子を置けば、快適なテラスができあがる。一週間ほど滞在している間、公園内でゴルフをしたり、テニスをしたり、プールへ行ったり、時にはゆっくり読書をしたりと、充実した毎日をおくっている。

自分達専用の部屋が欲しいという子供達のために、こんな可愛らしいテントも作られていた。

このカップルは、毎年夏には、アメリカ中を車で旅行しているのだという。2週間の夏休み、簡単なテントを車に積み込んで、目一杯楽しんで旅行を続けていた。

オートキャンプ場は、自分の家の庭の延長なのかもしれない。キャンプ用品を車にたくさん詰め込んで、テントをいくつも組み立てて、さてこれから何をしようかという所。左のテントがダイニング・フライという食事専用のテント。向こうにみえるのが宿泊用。すぐわきにはピクニック・テーブルも見える。

自走式の「モーターホーム」を何台もつらねてやって来るグループの中にはこんなおチビさんも。

やっとの思いで奥さんと娘さんを説得し、キャンプに連れ出したビジネスマン。普段の生活から離れないようにと気をつかった結果、こんなスタイルのオートキャンプになってしまったのだ。

もちろんペットも一緒。

広大なオートキャンプ場で以外に便利なのが自転車。1人に1台づつ。

思いっきり運動した後、おいしい空気とバーベキューさえあれば、オートキャンプ場の食事はおいしい。

全米に支部のある「グッドサム・クラブ」と呼ばれるキャンパークラブの定期キャンプ大会だ。リーダーは、率先して食事当番を引き受ける。

大勢でやって来て、みんなで食べる朝食では、一際食欲がわく。

親戚や近所の子供をさそってやって来た彼。今日は朝食の当番。

アメリカ人の朝食になくてはならないもの。幌馬車時代からの塩漬け肉、ベーコンだ。これは昔ながらの製法で作られたベーコン。

オートキャンプの夕食はバーベキューで決まり。簡単でおいしく、雰囲気も格別。

アメリカ人の子供の頃のキャンプの思い出ナンバー1は、マシュマロをキャンプ・ファイヤーで焼いて、熱いところをやけどしそうになりながら食べたこと、だそうだ。そんな思い出を次の世代にも作ってあげようという、健全なアメリカン・ファミリー。

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