メリーランド州
メリーランド州は、ヨーロッパとの貿易をめぐってイギリスと戦った「1812年戦争」戦争の時に、ボルティモアのフォート・マックヘンリー砦で、フランシス・スコット・キィーによって、アメリカ国歌「スター・スパングルド・バナー」の原形となる歌が作らたことで有名な州だ。
ところがもうひとつ、ワシントンD.C.はメリーランドの土地だったものを、メリーランド州が合衆国政府に贈ったものだということはあまり知られていない。ワシントンD.C.の郊外の住宅地として、また、政府機関の用地として、お互いが密接な関係を持っていても当然といえば当然のことなのだ。
メリーランド州は、歴史的な背景から厳格に分類すると、本来は南部の州。しかしニューヨークとワシントンD.C.にはさまれ、アメリカ・メガロポリスの中心に位置する関係で、いまや北東部の交通幹線の重要な経路となっている。それら州の性格上、現在は北東部の州として分類されるようになっているのだ。だれの認識のなかでも北東部と思われているメリーランドだが、実は、未だに疎外されてる部分もある。ジョンズ・ホプキンス・ユニバーシティ、ユニバーシティ・オブ・メリ々ランド、ロヨラ・カレッジなど古くからの名門校がたくさんあるのにもかかわらず、ニューイングランド名門校の代名詞「アイビーリーグ」には入れてもらえないのだ。
アナポリスとボルティモア
大西洋岸にあるチェサピーク湾から入った所に、港を中心とした大都市が二つある。ひとつは、アメリカ海軍の海軍兵学校があるアナポリス。もうひとつがニューヨーク港と肩を並べる貿易港を持つ、ボルティモアだ。
アナポリスは、植民地時代からこの地方の政治の中心として発展してきた。現在もそのまま使われているという州議事堂は、その時代からずっと使われ続けられているという、アメリカ最古の議事堂。街並も、当時の姿をそのまま残しており、曲がりくねった細い道は、港町特有な魅力と合わせて、機能本位なアメリカの都市らしくない、不思議な雰囲気をかもしだしているのだ。
最初にアナポリスを訪ねたのは年前。ちょうどクリスマスを控えた、ある週末だった。街には、大勢の「ミッドシップメン」と呼ばれる、アナポリスの海軍兵学校の学生があふれていた。学校での様子を撮影したかったのだが、週末と祝日が重なった時期には、学校に学生の姿などあるはずがない。仕方なく、次ぎの春にもう一度出直す事にしたのだ。兵学校内の教室から教室へ移動を、隊列をくんで移動する「ミッドシップメン・パレード」は、まるで映画をみているようにかっこいい。その姿に見とれながら写真を撮っていたためか、その時には気がつかなかったのだが、あとで現像したものを見てみると、同じ制服を来て、同じ列で歩く学生の中には、かなりの数の女子学生が含まれているではないか。授業や訓練のメニューも男子と全く同じとのこと。女性進出もここまできているのかと、感心してしまった。
続いて訪れたボルティモアは、1830年にボルティモア港からオハイオ州まで、アメリカ最初の鉄道が引かれ、イギリスとの戦争の時に、アメリカ国歌「スター・スパングルド・バナー」ができた砦があるという、輝かしい栄光の歴史を持つ町なのだ。その砦には現在もアメリカ国旗がはためいていた。
第一次大戦や第二次大戦の際には、造船なども栄え、国内でも最先端を走る街だった。ところが、車や飛行機による輸送手段が発達する中、鉄道や海運業の衰退が目立つようになり、近年では、あまり活気のある町ではなくなっていたのだ。
しかし最近、地元の人の努力によって、ダウンタウンの大規模な再開発が進行、古い港つくりかえたのだ。現在ではすっかり最盛期の勢いを取り返していたようだった。
アナポリス海軍兵学校。 海軍兵学校は、1845年に創立。これは、アメリカ海軍の創始者の名前をとった本部、バンクロフト・ホール。 構内の風景や宿舎内の様子を見るためのツアーも用意されている。 有名な「ミッドシップメン・パレード」。校内を移動する際には、このように隊列をくむ。この姿がアメリカの高校生のあこがれだ。 兵学校本部の建物、バンクロフト・ホールにある、学生自治組織役員の顔写真。女子役員の顔もある。 ボルティモア郊外にある名門校「ジョンズ・ホプキンス・ユニバーシティ」。 ワシントンD.C.郊外にある大学都市、カレッジ・パークにある、ユニバーシティ・オブ・メリーランド。 ボルティモアの郊外には、数多くの有名校が並んでいる。キリスト教系の私立の名門、ロヨラ・カレッジ。 同じくキリスト教系の私立名門校、カレッジ・オブ・ノートル・ダム・オブ・メリーランド。 植民地時代の街並がそのまま残る、アナポリスのダウンタウン。その中心にあるのが、当時から使用され続けている、州議事堂だ。一時は、国会議事堂として使われたこともあるのだ。 アナポリスの町から港を見る。どこか不思議な感じがする町だ。 港からみたアナポリスのダウンタウン。1700年代の街並を保存するため、高層ビルなどは一切建っていない。 秋の終り。冬を迎える準備もすっかり整ったアナポリス港。 古い建物を利用した、最先端のファッション・ブティック。 週末のアナポリス港は、チェサピーク湾のレジャーボート専用港と化しているようだが、いま週末を海の上で過ごしたモーターボートの帰宅ラッシュ。 アナポリスの古い木造アパート。意外にも、入居希望者が絶えないという。 ボルティモアの「インナー・ハーバー」を囲むように、国立水族館、州立サイエンス・センター、海軍最初の軍艦「コンステレーション」号、ボルティモア海洋博物館などが並ぶ。 一時の元気のなかったボルティモアから、見事変身した町。現在は、アメリカの都市再開発のモデル的な存在になっている。 活気を取り戻したボルティモア港。 陸揚げした物資は、鉄道で輸送される。 インナー・ハーバーの水族館、ナショナル・アクエリアム アメリカ国歌発祥の地、フォート・マックヘンリー砦には、いつでも国旗がはためいている。この国旗からインスピレーションを得て、国歌が生まれたようだ。 独立間もないアメリカ合衆国が、イギリス軍と戦った「1812年戦争」。その要、フォート・マックヘンリー砦。 フランシス・スコット・キィーがいたフォート・マックヘンリー砦。 フォート・マックヘンリーに展示されていた国歌の楽譜。 当時の砦を守っていた軍隊の軍服。