イーストリバーを渡った、もうひとつのニューヨーク

最近は、ニューヨーク・イコール・マンハッタンという図式が崩れ始めてきているようだ。昔から芸術家達が多く住んでいたソーホー地区には、「ロフト」という、広いアパート兼アトリエが数多くあったのだが、最近は高級ギャラリーが増え、家賃が高騰、無名の芸術家が住める所ではなくなってしまった。そこで、以前なら治安が悪いので、見向きもされなかった、イースト・リバーの向こう側、ブルックリンに移り住むようになったのだ。おかげで、現在、ブルックリンは日系人なども住むようになり、以前よりは安全な住宅街に変身し始めている。

ブルックリンから先には、東へ延びるロングアイランド島が続いている。この地域ではマンハッタンからの距離がそのまま、その家の経済状態を表している。まずイースト・リバーを見晴らせる高級住宅街があり、次にマンハッタンからの脱出組だ。そしてその後ろの地区に住んでいるのが、以前からの住人、黒人やヒスパニック系の人々なのだ。

その先の海岸線は、次第にリゾート色が強くなってくる。一番手前にあるのが「ホットドッグ」発祥の地、コニーアイランド。一時は、ニュージャージー州のアトランティック・シティーと肩を並べるほど人気のあったリゾートだったが、ブルックリンから押し出された黒人やヒスパニック人が多くなって、かなり特徴が変わってきてしまっている。

その先にケネディー空港があって、ロングアイランドより沖の島々、ファイヤー・アイランドへと続くのだ。ここまでくると、フェリー・ボートでしか行けない場所もあり、開発されすぎてないリゾートとして、ニューヨークを陰で牛じっているといわれる、「ジューイッシュ」、ユダヤ系の人々が多く集まる場所となっている。

さらに東、マンハッタンから車で一時間半程度のサウザンプトンまでくると、わざわざマンハッタンまで行かなくても、この町でゆったりと仕事ができてしまう。マンハッタンに比べると格段に治安もよく、高級リゾート地でもあるサウザンプトンでは、別荘として購入した家に住みついて仕事をする人も増えてきているという。

そんな人の中に、現在アメリカン・ポップ・アートの第一人者、ロイ・リキテンシュタインもいた。友人のオリビアが彼の仕事を手伝っている関係で、彼のアトリエを訪ねることもできた。「我々は、サウザンプトンに住む、ニューヨーカーなのですよ」と、もうマンハッタンは古いのですよとでもいうように、かっこよく語ってくれたのだ。

マンハッタンの東側、イーストリバーを越えると、そこはロングアイランドだ。マンハッタンの対岸、ブルックリンのレストラン」リバーカフェ」から見る、夕方のマンハッタン。

以前に訪ねたときは、毎晩毎晩ロサンゼルス暴動のように放火の火があちこちで燃え、ピストルの音さえ聞こえていたブルックリンの町も、今ではすっかりイメージ・チェンジ。

「ニューヨーク・ヤンキース」のヤンキースタジアムは、住所はブロンクスだが、マンハッタンの東側を流れる、ハーレム・リバーを渡った、すぐのところにあるのだ。

ブルックリンの南の端にある、コニーアイランド。1950年代には、アミューズメント・パークとして栄えていて、ホットドックもこの店で発明されたのだ。

マンハッタンから地下鉄で行けるビーチ、コニーアイランド。現在はブルックリン住む、黒人やプエルトリコ系の人々のリゾートとなっているようだ。

コニーアイランドのボードウォークは遠浅の美しい海岸と、幅の広い砂浜が続く美しいところだ。現在治安の快復に向けて努力中。

ハンバーガーに押され気味のホットドッグだが、味はこっちが上だとがんばっている、元祖「ネイサンズ」。

以前は高級なビーチリゾートとして、全米のあこがれの地だった、コニーアイランド。

ロングアイランドの南側、大西洋に沿って延々と続く美しい海岸。島の先の方へ進むに従って、別荘の大きさもどんどん大きくなっていくようだ。アメリカ有数のビーチリゾート、サウザンプトンの別荘。

サウザンプトンから、イーストハンプトンあたりをドライブしてみると、海岸までの敷地に、このような家が建っていた。一度こんな家に住んでしまったら、あのごみごみしたマンハッタンへは戻れないだろう。

ロングアイランド・ビーチでは、海岸の砂が移動しないように、フェンスが立てられている。

ロングアイランドは、アイダホにも負けない、ポテトの産地。サウザンプトンで開催されていた、ポテトフェスティバル。

ポテトフェスティバルで行われていた、地元の奥様方による、ポテト料理コンテスト。

サウザンプトンから、ガーディナー湾に面するサグハーバーへ。1800年代に捕鯨の町として知られてきた町には、サグハーバー・ホエーリング・アンド・ヒストリカル・ミュージアムがあった。町の銀行もいかにも捕鯨の町らしかった。

サグハーバーは芸術家の町でもある。ここにはあのシャガールも絵を描きに来たことがあるという。

美しい町を保存するためには住人の努力も必要だ。サグハーバーの町で。

サグハーバーの町の観光案内所は、捕鯨基地の時代から残る、大きな風車の中。

サウザンプトンに住む友人、オリビアの家。彼女はマンハッタンを離れて、こちらで働く芸術家のコーディネートの仕事をしている。マンハッタンの狭いオフィスで働くよりはここで広々と仕事をしたいのだという。

オリビアが専属のマネジャーをしていた、有名なアーティスト、ロイ・リキテンシュタインの作品。

ビーチ・リゾートに調和するようにと、ピアノも白く塗り変えてしまった。

彼女の仕事は、人と人をつないでさまざまなプロジェクトを行うこと。時には大勢を集めてパーティも開くという。

サウザンプトンに住む、知り合いのアーティストの作品が部屋のインテリアとして、センスよく飾ってある。

現代アメリカのポップ・アートを代表する、ロイ・リキテンシュタインのアトリエ。ビーチ・リゾートの明るい雰囲気が彼の作品にピッタリだ。

天井からも明るい光が入る。制作中の大きな絵が何枚も壁にかけてあった。中には日本の広告もかかっている。

ヨーロッパのクライアントをロイ・リキテンシュタインに紹介して、プロジェクトの打ち合わせをしているオリビア。

アトリエのドアを開けると、この絵が私を迎えてくれた。

彼の作品にただよう明るさは、サウザンプトンの明るい太陽のせいかもしれない。

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