ラピッドシティーに出現した「エアストリーム」村

いつからか、キャンピングカーを牽引したスタイルが、最も快適なアメリカ撮影旅行の形になってしまっている私は、アメリカでWBCCIというキャンピングカーのクラブに所属することにした。そしてこの日は、一年に一度の世界大会の日だ。マウント・ラッシュモアの麓にある、ラピッド・シティー郊外の牧草地に、突然出現したキャンプ村は、総勢一万人。これから十日間、みんなでオートキャンプをしようというわけだ。

西海岸のオレゴン州から、ラピッドシティーへむかうキャラバン隊に合流し、無事オートキャンプ場に到着。入口では係りの人が一台一台に駐車の指示を与えている。どうも正確な場所に駐車しないといけないらしい。指示通りに進み、エンジンを止めて、牽引してきたキャンピングカーを引き離し、あたりを見渡して見ると、ちゃんとオレゴンから参加しているグループの真ん中に入っていた。

グループは、ペット連れのブロック、ハンディキャップ・ブロック、一人で参加している人のブロックなど細かく別れていて、それぞれが暮らし易いように、きちんと考えられていたのだ。

翌年の役員の選挙やら、役員交替のセレモニーが行われた後は、ゲストによるコンサートや、ゲーム大会などが一斉に始まる。期間中は、町のコンベンション・センターを借り切って、幾つものプログラムが同時に進行している。カメラマンの特権で、どこでも出入り自由のバッジをもらった私は、片っ端からのぞいてみることにした。

まず最初はの会場は「ミス・コン」。決しておもしろ半分のものではない。ピアノ演奏や、スピーチ、寸劇、そしてイブニング・ドレスの審査と続く本格的なものだ。参加者も審査員も真剣そのもの。最後には、優勝者の美しい涙も見ることまでできたのだ。

ペット・コンテストも人気の出し物だ。キャンピングカーの旅の良いところのはペットと一緒に旅行ができるということ。したがって、この大会にもペットを連れたキャンパーが大勢来ている。念入りにブラシをかけてもらい舞台にあがり次々とお得意の芸を披露する姿は、動物好きの私にはたまらない。

そして、写真スライド・コンテスト。メンバーが持参したスライドを審査するものだ。プロ顔負けの力作揃いのコンテストは、審査結果も気になり、結局最後までつきあってしまった。

この他にも、「ブリッジ・コーナー」、馬の蹄鉄投げ、ゴルフ・トーナメントなどなど、十日ではとても回りきれないほど盛り沢山だ。ちょうど独立記念日にあたる最終日は、ラピッド・シティーの目抜き通りをキャンピングカー・クラブのパレードが埋め尽くしてしまった。今日を最後に、再びアメリカの各地へ離れ離れになってしまう一万人のメンバー。それぞれが別れを惜しむように、ゆっくりゆっくりと進むパレードだった。

アメリカ大陸の各地で毎年場所を変えて、十日間にわたって開催される、この世界大会へ参加するのは、やはり経済的、時間的に余裕のある、リタイア組が多い。平均年齢70才、中には89才の女性ドライバーの姿もある。何週間もかけ、自らハンドルを握って大陸を横断してくるという、バイタリティーあふれる老人達にはいつもながら驚かされるばかりだった。

ラピッドシティー郊外、マウント・ラッシュモアの麓の牧草地の真ん中に、突然出現した「エアストリーム」村。アメリカ本土48州の隅々から集まって来たキャラバン隊は、ここで10日間のワーリー・バイアム・キャラバンクラブのインターナショナル・ラリー、キャンプ大会を開くのだ。

西部開拓の旅を続けた幌馬車隊のように、整然とならんだキャンピングカー。牽引する車は当時の馬に変わって現地での足がわり、トレーラー式のキャンピングカーは、テントがわりだ。外国からの参加者のキャンピングカーには、それぞれの国旗などが掲げられている。

飛行機の製造技術を駆使、特殊アルミ合金製の「エアストリーム」。整然とならんでいる姿は、まるで未来都市を見ているようだ。

日曜日の朝のキャンプ場は、まだ静まりかえっている。

一路ラピッドシティーへ向かうキャラバン隊。

町のコンベンション・センターを借り切って行われた、インターナショナル・キャンプ大会。役員を決める選挙が行われたあとは楽しいイベントが目白押しだ。

アメリカ全土にある各支部の代表者が、その支部の旗を掲げて入場行進をする。10日間の「インターナショナル・ラリー」と呼ばれるキャンプ大会の開会式。

キャンプ大会に華を添える「ミス・コンテスト」も開催。「ミス」に選ばれた女の子の家族達。

「ミス・コン」の応援団。

プロのミュージシャンが出演する夜のコンベンショーンホールのコンサートは超満員。今日のゲストは、チェット・アトキンス。

「ミス・コンテスト」の最終審査は、イブニング・ドレス。容姿だけでなく、タレント性、スピーチなども審査の基準だ。

キャンプ大会の最終日は、アメリカ合衆国の独立記念日。この日はラピッドシティーの目抜き通りを閉鎖して、長いパレードが行われる。

ペットも一緒に参加できるのもキャンピングカーならでは。ペットと似たもの夫婦。

キャンピングカーの前身、幌馬車隊も参加。

キャンプ大会の期間中は、年齢を忘れてはしゃいでしまう。

全米の代表と、左は、リーロイ・ワイス会長。幌馬車スタイルのチャックワゴン・ディナーで。

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