フォード・ミュージアムとグリーンフィールド・ビレッジ

アメリカ国内で、何度行ってもおもしろい所と聞かれて、すぐ思いのがデトロイト郊外、フォード・モーター社の本社がある町、ディアボーンにあるフォード・ミュージアムと、それに隣接する野外ミュージアム・グリーンフィールド・ビレッジだ。ここは、撮影で近くを通った時には必ず立ち寄るほど、私のお気に入りの博物館なのだ。

フォード・モーター社の創設者、ヘンリーフォードが個人的にコレクションした数々を一般公開しているこの二つの博物館は、「アメリカーナ」の文化の歴史を知るにはもってこいのもの。デトロイト観光の目玉となっている。

フォード・ミュージアムは、一言で言うと、アメリカの機械文化の歴史博物館。機械文化の発生からどんどん発展して行く様子を、その時代時代の風景とマッチさせて展示してある所だ。1950年代の家の中に、当時使用していた洗濯機、掃除機、食器洗い機などが置いてあったり、外には当時使われていた、元祖キャンピング・カーのようなものた置かてあったりといった具合だ。ただ並べてあるだけの普通の歴史博物館と違い、当時の生活を肌で感じることができるようになっているのだ。

その他、歴代アメリカ大統領の専用車や、大西洋単独横断飛行に使われた「スピリット・オブ・セントルイス号」など、ニュースに登場したものもたくさん展示してある。始めて月面着陸したときに使用した月面走行車がフォード最初の車に良く似ていたりするのには少々驚いた。

一方、グリーン・フィールド・ビレッジの方は、ちょうど日本の明治村の雰囲気。休日は観光客でいっぱいになってしまう、人気のスポットだ。ここでは、1900年代初期のアメリカにタイムスリップした気分をたっぷり味わうことができる。そしてここの人気の秘密は、ここにあるものが全て実際に動き、使える状態になっていることなのだ。広い村の中にある家も車も自転車も、すべて現役そのまま。車好きの私には、当時の乗り物が、当時の景色の中を走っていたりするのがたまらない。おまけに、その車に乗せてもらうこともできる。

私は、T型フォードを始め、乗り合いバス、SL、外輪船など、何回かに分けて、ほとんど全ての乗り物に乗ってみた。いつ行っても、どの乗り物に乗っても、当時のスピードで流れて行く町の景色は、たとえT型フォードに乗った時でさえ、とてもゆっくりとしたものに感じられるのはどうしてだろうか。

白熱灯を始め、生涯に1903もの発明をしたといわれるエジソンは、アメリカの機械文明を語るには欠かせない人物。エジソン像の向こうには、エジソン電灯会社の建物も見える。

グリーンフィールド・ビレッジには、フォード・モーター社の創立者で、この博物館の創立者でもある、ヘンリー・フォードの生家も移築保存されている。

ビレッジ内で働く人は、自分の受け持ちの時代にあった衣装を身につけていた。

ビレッジの入り口で出迎えてくれた、1800年代の衣装をきた人達。

グリーンフィールド・ビレッジのメイン・ストリートから、チープサイドと呼ばれる脇道に入った所にある宝石店、サー・ジョン・ベネットの前。例え狭い敷地内だけでも、自分達の歴史を大切に保存しておくのは素晴らしいことだ。

アメリカ人なら、学生時代には必ず使うという、ウェブスター辞書の生みの親、ノア・ウェブスターの家も移築されている。典型的なニューイングランド・スタイルの建物。

『マイ・オールド・ケンタッキー・ホーム』のステファン・フォスターの生家。

砂糖きびの栽培や、牧畜が主な産業だった、1800年代の農村。

デトロイト、マック・アベニュにあったフォード・モーター社の工場を移築した建物の前には、「T型フォード」を始めとする、初期の頃の車が待機していて、実際に乗せてもらうこともできる。向こうに見えるのは、自動車産業が栄える前、州の特産品だった馬車。

マック・アベニュのフォード・モーター社の工場。このT型フォードもこの工場で作られたのかもしれない。

乗り合い自動車も、現役当時のままの姿で、観光客を乗せて走っていた。

Tフォードに乗ってビレッジ内を走ると、まるで1908年にタイムスリップした感じだ。

ライト兄弟が経営していた自転車店。彼等はここであの飛行機第一号を作り出したのだ。南隣のオハイオ州、デイトンから移築してきたもの。

グリーンフィールド・ビレッジの中にある、ビレッジ・グリーン広場。

SLの再現は、ビレッジの外周を利用して行われている。この回りも、線路にコインを置いて遊んでいた子供の頃を懐かしむ人でいっぱいだ。

ビレッジ・グリーン広場では、車輪のおもちゃも再現。

陸上の乗り物だけでなく、ミシシッピー川を走った外輪船の再現も、観光客の人気を呼んでいる。外輪船は、川底が浅い川でも自由に行き来できる便利な交通手段だったのだ。

有料道路が始まった歴史も古い。「ウィッティア・トールハウス」は、元祖料金所として、大事に保存されている。

グリーンフィールド・ビレッジに隣接している室内の博物館、ヘンリー・フォード・ミュージアム。正面入口の建物は、フィラデルフィアのインデペンデンス・ホールを再現したもの

Tフォードを始め、これまでアメリカで作られたほとんどの車がコレクションされている。国内はもちろん、中には日本やヨーロッパの車も展示されていた。

ヘンリー・フォード自身が、フォードの第一号に乗っているという、貴重な写真だ。当時の人はさぞかしうらやましがったことだろう。

フォード1号車と、月面車の基本的な設計デザインが同じだということに気づいたミュージアムでは、最近その2つを並べて展示する事にした。

リンドバーグが大西洋横断に使用した飛行機、「スピリット・オブ・セントルイス号」。

歴代大統領専用車のコレクション。ケネディー大統領の専用車、リンカーン・コンチネンタル。パレード時には天井をとりはずせる。

これはアイゼンハワー大統領が使っていた大統領専用車。「バブル」というニックネームをもっている。

「エアストリーム社」最初の、アルミ合金でできたトレーラー式キャンピングカー。

家電製品のコレクションも多数ある。これは1925年、ウエスティングハウス社製のオーブンレンジ。

電気といえばトーマス・エジソン。彼の発明した白熱灯は、コレクションには欠かせない。

現代の車文化にとって、なくてはならないモーター・ホテル。フランチャイズ・ホテル網の「ホリデー・イン」第一号店の客室のレプリカ。

15分で洗濯、1分間で脱水ができるという、画期的な製品。1918年製の電気洗濯機。

電気皿洗い機の歴史は、1910年代にすでに始まっていた。

モーター・ホテル「ホリデー・イン」の看板も重要なコレクションのひとつ。

家庭用の電気掃除機の歴史も、このようにコレクションされている。

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